Copyright © Kanazawa Fringe 2017. All rights reserved.

 

  • Instagramの - ホワイト丸

JP / EN

 

 

ウェイ・シンエン

 

齋藤雅宏

 

​×

アーティスト

ディレクター

Q.

お二人は、今回のプロジェクトで初めてお会いすることになったと伺いました。まずはどんな経緯でコラボレーションすることになったのか、聞かせてもらえますか。 

 

齋藤

 

 

きっかけは、僕の運営しているアートスペース『Kapo』のスタジオアーティストの一人が、台湾にあるアートスペース『竹圍工作室(バンブーカーテンスタジオ)』のレジデンスに参加したことでしょうか。その縁がきっかけで日台間の交流が始まりました。それで、『竹圍工作室』ディレクターのアイリスさんに、「カナザワ・フリンジ」のことも相談してみたんですね。そしたら数名のアーティストをご紹介いただいたんですが、そのうちの一人がウェイさんだったというわけです。ちなみに、ウェイさんとの初対面はスカイプ越しでした。でも、彼女の制作に対する強い意思や、彼女が持っている視野の広さ、オープンマインドな姿勢がつぶさに感じられて、ディレクターとして彼女の新作に携われることを嬉しく感じているところです。

 

齋藤さんがおっしゃるように、私たちが初めて顔を合わせたのはスカイプを通じてのモニター越しでしたね。でも、とても丁寧に話を聞いてくださり、歓迎してくれているのが伝わってきてすごく温かい気持ちになりました。私が作品について話している間も、ノートにメモをとりながら耳を傾けてくれましたし、私と作品の両方を尊重しながら、彼が感じた“正直な気持ち”と“建設的な意見”を伝えてくれました。それこそまさに、アーティストならばきっと誰しもが求めている“本質的なアドバイス”という感じで、すごく嬉しかったですね。

 

ウェイ

 

 

Q.

ウェイさんは、実は今回初めて金沢に来られるということですよね。

しかし、作品のタイトルをみてみると、「Walk with Me」という大胆な切り口。初めての土地を初対面の参加者と共に歩き、それを作品にする。そこに不安はないんですか?

 

ちょうど10月から11月までの1ヶ月間、金沢に滞在するんですが、今回のようにレジデンスをするということは、何らかのカタチでその地域の“日常”を体験することだと思っているんですね。だから、“初めての土地”だとか“滞在した時間が短い”とかいう尺度ではなく、「どのように過ごして、心の調子をまちに合わせるのか」ということが大事で、そのために「Walk with Me」プロジェクトを提案したというわけです。私自身が金沢の日常を知る近道であると同時に、私が想い感じる“金沢”と、金沢の人たちが想い感じる“金沢”がどこかでクロスして、その一部を共有しあうこと。それが、旅行ではなく、“滞在制作”の意義だと思うんです。

 

“アーティスト・イン・レジデンス”というと、どうしても“作品制作”の部分が大きく捉えられる場合が多いですよね。でも、ウェイさんが言うように、アーティスト自身が滞在するまちに関わることで、地域社会やひとびとの変化、あるいはつながりなどを生み出すきっかけになる。だからこそ僕は、まちの変化と個人の人生は、決して無関係じゃないと思っているんです。実際、これまでにウェイさんが制作されてきた作品は、人の“身体”が持つポリティクス(政治性)という側面や、人やまちに出会うことによって生まれる“現象”や“状況”を見つめ直すような側面の作品が多いというのも特徴だなと感じています。

 

 

齋藤

 

 

ウェイ

 

 

Q.

とある場所に暮らしている個人の集合体を、私たちは“まち”と呼んでいる。そう考えてみれば、個人の人生とまちの変化は、リンクしていて然るべきなんですよね。では具体的に、11月にはどのような“まち”と“人”の接点を見つけていく予定でしょう?

 

今回の「Walk with Me」を端的に説明するとすれば、ウェイさんが金沢で暮らす人たちと共に、それぞれのお気に入りの道を歩き、そのプロセスをもとに彼女が作品制作をするということになるでしょうか。でもそれは、単に道案内をする・してもらうという授受関係ではないんですよね。その時会話を交わし、同じ道を歩き、同じ景色を共有しているんだけれど、実は、一人ひとりの中に広がっている“いつかの情景としての金沢”をシェアしているということに他ならないわけです。そうやって、いろんな情景を持つ方たちと一緒に作品をつくっていけるのが、このプロジェクトの面白さなんじゃないかなって思いますね。

 

 

まだ金沢に行く前なのであくまで私の“想像”ですが、金沢に住んでいる人たちは、自分のまちの伝統や美しさに誇りを持っていると感じています。同時に、その良さを守りながらも、発展させていきたいという想いも併せ持っている人たちだなって。だからこそ、年齢や性別、出身は問わないので、ぜひいろんな方とお話ししたいなと思っています。あとは、金沢ではあまり知られていないような街角に案内してもらえたら嬉しいですね!

 

 

ウェイ

 

 

齋藤

 

 

Q.

まさに、アートな視点から“金沢のまち”について見つめ直す「カナザワ・フリンジ」ですが、「Walk with Me」プロジェクトを通じてお二人が期待することを、最後に教えてもらえますか。

 

僕は、金沢に住んでいる私たち自身が、このプロジェクトでは何より大事な存在だなと思っています。このまちに住んでいるということは、自分自身の考えや思いをしっかり持ちながらこの地に暮らしているということで、そんな私たちだからこそ持ちうる“マイ・スポット”が、きっと一人ひとりの中にあると思うんですよね。いろんな人との出会いや交流の中から、いわゆる観光スポットではない“わたしたちの日々の暮らしに欠かせないスポット”が浮かび上がってくるとしたら、それを繋いだとき、見慣れた金沢とは違う“もう一つの金沢の地図”ができるような気がするんです。

 

齋藤さんのおっしゃる“もうひとつの地図”を私なりに表現するとしたら、、、

それは、“より人間的な”まちの地図という表現になるでしょうか。地元のみなさんに案内をしてもらうということは、一人ひとりと一緒に過ごす時間とプロセスと共にするということ。それは、私にとって金沢というまちに入るための扉でもあり、まちの大事な部分に入り込むことができる素晴らしい鍵だとも思っています。見ず知らずの新しい何かと対峙したとき、拒絶を恐れない強い心も大切だと思いますが、

私は今回、一緒に歩いて頂くみなさんと仲良くなりたい。心からそう願っています。

 

ウェイ

 

 

齋藤